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お酒で太るのはなぜ?【内科医が解説】お酒とシメと血糖値の不都合な関係

テレビ朝日系列のポルポという番組に出演しました。

飲み会のシメについての「番組調べ」が面白く検証されています。

欲を言えば、リブレを使って持続的に血糖値を測定できるとよかったのですが、予算の都合上、指尖血液での測定で検証しています。

こちらの記事ではお酒と血糖値の関係についてご説明します。

番組にもありましたが、血糖値の変動には個人差が大きいです。同じ人が同じ食事を摂った場合でも、その日の体調、食事のタイミング、食べる順番などによって血糖値の変動は変化します。

もし自分の血糖変動が気になる方は、銀座有楽町内科の血糖値スパイク外来、リブレワークショップなどへお越しいただけますと幸いです。

目次

お酒と血糖値の関係

※細部の正確性より、大枠のわかりやすさを優先しています。より詳細・正確な内容は生化学の正書をご覧ください。また健常者(糖尿病でない方、糖尿病の薬を使用していない方)での説明を想定してます。

エネルギー供給源としての肝臓

お酒の話の前に、まずは肝臓のことを知る必要があります。

アルコールの分解や、アンモニアの分解など「解毒」の場として知られている肝臓ですが、もう一つの大きな役割に「エネルギー源の貯蔵と供給」があります。

ここでいう「エネルギー」は便宜上、グルコース(ぶどう糖)ということにしておきます。このグルコースの血中濃度が「血糖値」です。

食事を摂ると、食事中の炭水化物が消化され、グルコースとして吸収されて、血中のグルコース濃度、つまり血糖値が上昇します。

この上昇した血糖値をエネルギー源はとして、われわれ人間は筋肉を動かしたり、脳で考えたり、さまざまな生命活動を維持しています。

このとき、生命活動に使い切れない余分なグルコースは、食事を摂らないときのために保管されます。

その保管場所が肝臓です。肝臓と筋肉にグリコーゲンとして蓄え、それでも余りある分は脂肪に変換して、主に肝臓に蓄えます。

食事を摂らない夜間や、日中でもトレーニング中など普段以上にエネルギーが必要な場合は、肝臓や筋肉に蓄えたグリコーゲンや脂肪をグルコースに変換して血液中に放出し、全身にエネルギーを供給しています。

こうして、食事から吸収されたグルコースと、肝臓から供給されるグルコース、両方を合わせて、エネルギー源としての血糖値を維持し、生命活動を維持しているわけです。

お酒を飲んだときの肝臓

前段では、エネルギー源としての血糖値が、食事からの吸収と、肝臓からの供給によって維持されていることをお話しました。

お酒(アルコール)を飲んだときの肝臓の働きに目を向けると、血糖値との関係が見えてきます。

アルコールは、人体の生命を維持する上では「毒」です。入ってきた毒はすぐさま解毒しなくてはなりません。

その解毒の場所が肝臓です。毒が全身に廻ると生命活動に支障をきたします。いわゆる「酔っ払い」で済めば良いですが、急性アルコール中毒で意識不明、死亡に至ることもあります。

肝臓は解毒最優先で仕事をします。このとき、エネルギー供給は二の次です。グルコースの供給源は食事だけに委ねられます。

ここで食事を摂らなくなると、全身の臓器でのエネルギー消費は変わりません(むしろ、肝臓でのアルコール分解にもエネルギーが消費される)ので、エネルギー供給不足となり、血糖値が下がりやすくなります。

エネルギー不足解消のためのシメ

アルコール分解に忙しい肝臓からのエネルギー供給が途絶えた体は、どのような反応を生じるのでしょうか?

エネルギーの供給源は先述の通り、食事と肝臓です。肝臓からのグルコースが途絶えたとき、期待できるのは食事だけです。

こうして、体はエネルギー不足解決のため脳に「空腹感」を生じます。そしてシメのラーメン(カレー、牛丼、お茶漬け、パフェ、ステーキ…)へと自然と足が向かうことになるのでした。

シメを食べるとなぜ太るのか?その対策

お酒を飲むことで、たしかに血糖値が下がりやすくなりますが、通常はシメを食べなくても全身の組織(筋肉など)からエネルギーが供給され、低血糖で気を失うということはありません。

それでも食べてしまった分は、全身へのエネルギー供給にも使われますが、余剰分がしっかり蓄積されます。とくに糖質は脂肪に変換されて、肝臓と内蔵まわりに蓄えられます。シメを食べて太るのはこのためです。

シメを食べたくなるのは、肝臓がアルコールの解毒に忙しくなった結果です。つまり、肝臓がエネルギー供給をできなくなるほどのアルコールが体内に入っているのが原因です。わかりやすく言えば、飲みすぎです。

お酒そのものにもカロリーはあり、糖質を含むビールや日本酒はたしかに血糖値を上げますが、その上昇はごく僅かです。

にもかかわらず「お酒を飲むと太る」と言われる所以は、お酒を飲んで、空腹感が生まれ(満腹感を感じにくくなり)、ついついシメまで行って食べすぎてしまう、というのがホントのトコロだと私は考えています。

シメを食べたくなるほどのお酒は控えて、楽しく、健康に過ごしたいものですね。自省も込めて。

おまけ◇出演の経緯

番組制作会社のADさんから突然、クリニックに電話がかかってきました。

わたしに声がかかったのはこちらの記事がきっかけでした。

お酒と血糖値の関係に詳しそうな医師、というイメージだったのでしょうか。

インスタにお酒を飲んでいる写真が頻繁に上がっているのに加えて、SNSやブログ、Youtubeなどにも顔を出しており、「この先生ならイケそう」的な勘もあったのでしょう。

そうして、企画段階から監修に携わることになりました。企画から撮影を経て30分間の番組ができる過程を垣間見ることができ、知らない世界に潜入できたことを嬉しく思います。

引き続き、メディアにも露出しつつ、血糖値と健康に関する正しく楽しい情報を広めていけたら嬉しいです。

診療情報

クリニック ル・ギンザ – 銀座有楽町内科

内科・糖尿病内科・内分泌内科
ダイエット外来・血糖値スパイク外来

火・水・金曜日 12:00〜20:00
東京都中央区銀座4丁目1番先 北数寄屋ビルB1F
有楽町駅3分、銀座駅1分
H.I.S.銀座本店隣の扉が入口です。

上大崎クリニック

内科外来

第1土曜日 9:00〜17:15
第2木曜日 14:00〜17:15
目黒駅徒歩3分
詳細はクリニックホームページをご覧ください。

城山病院

糖尿病・代謝・内分泌外来

毎週月曜日 9:00〜12:00
群馬県太田市

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プロフィール

やさしい糖尿病内科医
山村 聡(やまむら そう)

九州生まれ、九州育ち、九州大学医学部卒。大学病院で糖尿病・代謝・内分泌内科助教、市中病院勤務後退局。フリーランスを経て、銀座有楽町内科院長。

病気を治療する医師であると同時に、生涯の健康を保つパートナーでありたいと思っています。

趣味はお酒と血糖値。診察室で患者さんと喋ることも好きですが、気のおけない友人とお酒を飲むことも大好きです。自分の幸せも大切にしながら,社会が豊かになることに貢献できたら最高です.

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます.

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