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お酒のカロリー・糖質【一覧】糖尿病内科的に「日本酒より焼酎が太らない」は本当か?

お酒のカロリーと糖分についてはよく訊かれます.「日本酒より焼酎のほうが太らない」「ビールをハイボールに替えると血糖が上がらない」などなど,巷の噂がありますが,実際どうなのか食品成分データベースからまとめてみました.

便宜上,それぞれのお酒1mL=1gで計算でしています.(正確にはアルコール度数,温度によって密度が変わります.)

ビール350mL 140kcal 炭水化物10.9g
ビール500mL 200kcal 炭水化物15.5g
発泡酒350mL 158kcal 炭水化物12.6g
発泡酒500mL 225kcal 炭水化物18.0g
チューハイ350mL 182kcal 炭水化物10.2g
チューハイ500mL 260kcal 炭水化物14.5g
焼酎(甲類)1合(180mL) 371kcal 炭水化物0.0g
焼酎(乙類)1合(180mL) 263kcal 炭水化物0.0g
日本酒1合(180mL) 185kcal 炭水化物6.5g
梅酒60mL 94kcal 炭水化物12.4g
紹興酒1合(180mL) 141.8kcal 炭水化物9.2g
赤ワイン120mL 106.4kcal 炭水化物1.8g
白ワイン120mL 106.3kcal 炭水化物2.4g
ロゼワイン120mL 104.9kcal 炭水化物4.8g
ブランデー
シングル30mL 71kcal 炭水化物0.0g
ダブル60mL 142kcal 炭水化物0.0g
ウイスキー
シングル30mL 71kcal 炭水化物0.0g
ダブル60mL 142kcal 炭水化物0.0g
ウォッカ
1ショット30mL 72kcal 炭水化物0.0g
ジン
1ショット30mL 85kcal 炭水化物0.0g
ラム
1ショット30mL 72kcal 炭水化物0.0g

これを見ると,たしかにビール(140kcal,炭水化物10.9g)よりハイボール(71kcal,炭水化物0.0g + 炭酸水)のほうがカロリー半分,糖類ゼロで血糖にはほとんど影響しないでしょう.

日本酒と焼酎で言うと,日本酒1合(185kcal,炭水化物6.5g),焼酎(乙類)1合(263kcal,炭水化物0.0g)で,カロリー的には焼酎のほうが高いです.しかし焼酎の糖類はゼロです.これは,蒸留酒である焼酎は糖類は含まないですが,アルコール度数が日本酒15度に対し,焼酎25度と高いため,アルコール代謝で得られるカロリーは焼酎のほうが高くなります.

日本酒と比べると,焼酎は糖類を含まず血糖値を直接的には上げないですが,摂取カロリーでみると同量の日本酒より多くなります.また,アルコールは通常のエネルギー代謝(TCA回路)を妨げるので,日本酒も焼酎も中性脂肪を上げやすくなります.結果,太るというわけです.

一般的に醸造酒(日本酒,ワイン)に比べて,蒸留酒(焼酎,ウイスキー)のほうが太らないと言われますが,アルコール度数は蒸留酒のほうが高いため,摂取カロリーは醸造酒より多くなります.ちなみに泡盛は,焼酎(乙類)扱いで良いかと思います.

糖尿病内科的コメント

では,どのお酒を飲むのが良いのか?私も父親譲りの呑兵衛で,たいていの酒はいける口なので何をどう飲むか悩みます.結論としては「飲みすぎない,食べすぎないこと」.これに尽きます.飲酒時の摂取カロリーのほとんどは,お酒そのものではなく,お酒と一緒に食べる食事から摂取したものです.アルコールは食欲増進効果があるのでついつい食べ過ぎがちですが,1日の目標摂取カロリーを参考に,あくまで普段の1食分と変わりない量の食事を心がける,〆のラーメンには行かない!というのが次善の策といえるでしょう.

プロフィール

やさしい糖尿病内科医
山村 聡(やまむら そう)

九州生まれ、九州育ち、九州大学医学部卒。大学病院で糖尿病・代謝・内分泌内科助教、市中病院勤務後退局。フリーランスを経て、銀座有楽町内科院長。

病気を治療する医師であると同時に、生涯の健康を保つパートナーでありたいと思っています。

趣味はお酒と血糖値。診察室で患者さんと喋ることも好きですが、気のおけない友人とお酒を飲むことも大好きです。自分の幸せも大切にしながら,社会が豊かになることに貢献できたら最高です.

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます.

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