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プライシング初学者にちょうどいい「正しい『値決め』の教科書」|プライシングのはじめの1歩

プライシングの勉強中です.コストや原価のことから価格の決まり方,価格表示の方法までわかり易く解説され,まさに「教科書」と呼べる1冊です.まずこの本を読んで類書に手を出すのが良いかもしれません.

目次

この本について

ビジネスに絶対欠かせない!
正しい「値決め」の教科書
中村穂 著
すばる舎

この本で知りたかったこと

・値決めの種類にはどんなものがあるか
・値決めの目的とは何か
・損益分岐点とは何か
・価格表示はどのようにするのが正しいのか

この本から得たこたえ

6つの価格設定法

本書の第4章で6つの価格設定法が紹介されています.「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」で示されている6つを咀嚼する形で説明されます.

マークアップ価格設定

製品1個あたりいくら儲けたいか利幅(マークアップ)を決めて,原価に上乗せする方法です.全部原価計算で固定費も1個あたり原価に分配するのが大切です.

ターゲット・リターン価格設定

ROI(投資収益率=利益÷投資額)を使って,期待するROIを商品の予定販売数で回収すると見込んで原価に上乗せして価格を決めます.

マークアップ価格設定,ターゲット・リターン価格設定は自社の原価計算に基いて決めるので容易ですが,競合の価格や,マーケットのニーズを無視するので,下限価格を設定する際の参考として利用したいところです.

知覚価値価格設定

製品・サービスの対価として妥当だと顧客が感じる価格を調査し,プライシングします.自社のブランディングにより知覚価値を高めることもできますし,知覚価値が低ければコストを見直す必要が出てきます.

バリュー価格設定

ウォルマートのEDLP(Every day low price)に代表される,特定のラインナップを低価格に設定する方法です.製品の質を維持しながら,仕入れから製造,流通まで抜本的に効率化し,コストを減らすことで低価格での販売を可能にします.

スーパーマーケットやコンビニチェーンのようにある程度の規模とシェアがないと実現できません.

現行レート価格設定

競合他社との価格比較から,自社製品・サービスの価格を決めます.ブランド力や他社にない強みがあれば高く設定でき,そうでなくとも,安めの設定でシェアを掴むこともできます.

オークション型価格設定

入札形式で,顧客が価格を決める方法です.「スマート・プライシング」で紹介された,ペイ・アズ・ユー・ウィッシュ方式,購入価格指定方式がこれにあたります.

戦略・目的に合わせた価格設定法

6つの価格設定法で自社製品・サービスに対する大枠を決めたのち,経営戦略に基づいた価格決定プロセスが必要のなります.本書では次の4つの方法が紹介されています.

リスク分担価格設定

自社製品に高い価格設定をしたいけれども,顧客がそれだけの対価を支払うことに二の足を踏むような際,「返金保証」を提示します.顧客は,製品・サービスが金額に見合わないと思えば費用を取り戻せるので,購入への精神的なハードルが下がります.

自社製品で顧客が満足できるという自負のもと,顧客が満足できないリスクを負うわけです.

心理的価格設定

端数価格(100円を98円にする),段階価格(価格を松竹梅で設定する),差別価格(コンサートのS席など)といった消費者心理に則った価格の見せ方です.

市場浸透価格設定

安値で市場シェアの最大化を狙う方法です.ただし,価格は消費者の購入動機の一つではありますが,安いことが必ず購入につながるわけではありません.自社製品・サービスの市場で,顧客の重視するものが価格であれば有効な手段となりえます.

上澄み吸収価格設定

いわゆるブルー・オーシャンで,市場のニーズがあるにも関わらず競合がいない先駆的製品・サービスであれば,高い価格でも十分な売上が見込まれます.

その他の価格設定法

地理的価格設定,販促型価格設定,差別型価格設定,予測価格設定など紹介されてます.

正しい価格表示

2004年4月以降は「総額表示方式」が義務化されました.ただし,消費税の引き上げが進行中の現在は,税込か税別かが明記されていれば,税別,本体価格のみの表示も特例で認められています.

糖尿病内科的でないコメント|感想

以上,価格設定法のオンパレードでした.プライシング関連の勉強を始めて,この本を2冊目に読んだのは正解でした.会話形式の構成で,初学者でも理解しやすいです.コスト,原価の解説に始まり,様々な価格設定法が紹介されるので,この後の勉強内容を俯瞰するような,とっつきやすい本でした.

プロフィール

やさしい糖尿病内科医
山村 聡(やまむら そう)

九州生まれ、九州育ち、九州大学医学部卒。大学病院で糖尿病・代謝・内分泌内科助教、市中病院勤務後退局。フリーランスを経て、銀座有楽町内科院長。

病気を治療する医師であると同時に、生涯の健康を保つパートナーでありたいと思っています。

趣味はお酒と血糖値。診察室で患者さんと喋ることも好きですが、気のおけない友人とお酒を飲むことも大好きです。自分の幸せも大切にしながら,社会が豊かになることに貢献できたら最高です.

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます.

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