入院中は時間があるのでマンガを読んだり、ゲームをしたりと思い思いの過ごし方があります。退屈しのぎにマンガを読んでいたアラ傘寿(アラウンド80歳)のおばあちゃんから、これまた80歳のおばあちゃんを主人公にした「傘寿まり子」をオススメされたので読んでみました。
傘寿まり子に見る現代の超高齢社会
あらすじ
ざっくりした内容は、80歳で現役の文芸作家である主人公が、3世代同居の家庭から家出して、自分の居場所、生き方を探していくストーリーです。
みどころ
もう少し若い世代であれば、やすやすと越えられる社会の障壁に苦戦しつつも、家族以外のいろいろな人と関わりながら、80歳なりの成長を遂げていきます。
高齢者ならではの問題や、縁のなかったSNS、ネットゲームとの出会いなど、高齢者、非高齢者、あらゆる世代の目線で、お互いの視野が広がります。
感想
傘寿まり子の暮らす超高齢社会のスッと引き込まれて、気づくと4巻読み終わりました。現実世界も、傘寿まりこの世界も同じ時代のはずなのですが、わたしのように高齢者と生活を共にしない人間には、新鮮な発見の連続でした。
アラ傘寿がどういう世界を見て、どういうことに悩み、家族、社会にどういうことを望んでいるのか、考えるきっかけになってくれます。
今後、否応なく自分も親も年をとり、超々高齢社会の中で暮らすことになります。そのための心の準備としても、親子で読みたいマンガでした。
糖尿病内科的コメント
小医も外来ではたくさんの高齢者と関わります。高齢者なりのプライドやこだわりがあることも感じています。しかし、祖父母の暮らしたことはなく、現在も妻と2人暮らしなので、高齢者の生活、高齢者の居る生活に深く関わったことはありません。そうした中で、傘寿まり子のような、高齢者目線でも、家族目線でも超高齢社会の一面を追体験させてくれるマンガはとても参考になります。
高齢者だけでなく、患者さんの多くが内に秘めて、医者には言わない希望、期待を引き出し、それに応えられるような診療を理想として、近づけていきたいところです。