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【骨髄提供まとめ】費用は?保険は?入院期間は?2度のドナー経験者が語る、バンク登録から入院・手術とその後まで

わたしは20代と30代のときに骨髄移植ドナーとして骨髄提供をしました。ドナー(骨髄提供者)とレシピエント(骨髄移植を受ける患者)が特定できるような記載はできないので、体験談をまとめられずにいましたが、提供から数年が経過し、世の中で白血病、骨髄移植が話題に上がることもあるので、お役に立てればと思い綴っておきます。

ドナー登録

高校時代、ときどき献血ルームで献血をしていました。当時は社会貢献というより、完全に献血ルームの無料ドリンクとお菓子狙いです。

そこでたまたま目にした骨髄バンクのパンフレットをみて、献血ついでに登録したのがきっかけでした。18歳〜54歳で条件を満たせば登録できます。献血ができる人はだいたい登録可能です。

通知は突然やってくる

ある日突然、オレンジ色の封筒が速達で届きます。初めて届いたときには「ヤバイ何かがとどいた!」と驚いたものです。

開けてみると、骨髄移植ドナーの候補者に選ばれた旨の通知と、提供の意思、現在の健康状態などを記入する回答票、返信用封筒が同封されています。

1回目の骨髄提供時は大学生でしたので時間の融通はつきやすかったですが、2度目の通知を受け取ったときは医師として病院勤務していたため、提供するか迷いました。事前の検査に数回休む必要があり、いざ提供となると3泊4日の入院が必要ですので医局と相談し、夏休みを調整して応じることにしました。

移植コーディネーターからの電話

骨髄提供の意思がある旨を返送すると、自分を担当してくれるコーディネーターさんが1人付きます。この方から電話連絡があり、今後の日程の調整、退院後のフォローまで対応してもらえます。

わたしを担当してくれたのは、1回目、2回目ともに中年の女性のコーディネーターさんで、物腰が低く、丁寧な対応で親しみがもてました。疑問、質問、ささいな相談事にも応えてもらえるので、移植への不安をいくぶん和らげてくれます。

コーディネーターさんの仲介で、事前検査を行う病院、骨髄提供を行う病院、担当のドクター、検査の日程、骨髄提供の日程が決まっていきます。もちろんこちらの都合を確認の上、調整してくれますが、レシピエント(骨髄をもらう患者さん)の状態により予定通りにはいかないこともあります。

検査の途中で移植中止ということも発生します。わたしは1回目と2回目の提供とは別に1度、ドナー候補通知が届きました。その際は事前検査をおこなう前にコーディネート中止となりました。

確認検査

骨髄提供の意思のもと、事前検査を受けます。検査に費用はかかりません。交通費も支給されますが、平日に休みをとって病院に行く必要があります。

身長、体重といった身体測定と、血液検査、尿検査を受けました。HIVを含む感染症の検査などあるので、検査を受ける同意書にサインして検査室を廻ります。

結果はいたって健康でした。

最終同意面談

確認検査までの段階では複数のドナー候補者がいるようです。ドナー候補者の中から、提供の意思と確認検査の結果、レシピエントとの距離、移殖の日程などから1人の候補者に絞られ、あらためて提供の意思確認があります。

この時点までであれば提供しないという選択も可能です。最終同意後は移植に向けて、患者さんへの処置が始まるため、提供の意向を撤回することはできません。

最終同意面談は、ドナー自身とその家族、担当のドクター、移植コーディネーター、立会人の最低5名で行われます。立会人は骨髄バンクの別のコーディネーターさんだったり、弁護士さんだったりします。

骨髄移植について、ひと通り流れ、考えられる合併症・リスク、過去の後遺障害、補償などの説明があらためておこなわれ、ドナーと家族の同意によって成立します。

わたしは1回目の移植では母と妹が同席し、2回目の移植では妻が同席しました。家族の同意も必要ですので、確認検査より前の段階で家族の意向も確認しておいたほうがよいでしょう。

採取前健康診断・自己血採血

最終同意を終えて、骨髄提供への日程が最終的に決まってきます。同時に患者さんへの移植前の処置が始まります。

自分の体が自分だけのためのものでなく、移植を受ける患者さんためのものにもなります。生活には何ら変わりないのですが、この期間は病気や怪我にいっそう気をつけようという気になります。

海外渡航や登山、海水浴などは控えるのがのぞましいでしょう。行動の制限はないですが最終同意面談の段階で、遠方への旅行の予定がないかやんわりと確認されました。

この年の夏休み、海外の友人を訪ねようかと考えていましたが止めておきました。

骨髄提供は全身麻酔による手術となるため、術前の心機能、呼吸機能の検査、麻酔科医による診察が行われます。また、提供後に輸血を受けるため、輸血用の血液をあらかじめ自分の体から採取(自己血採血)しておきます。

診察+自己血採血のために、手術前に少なくとも2回の通院が必要になります。

入院・骨髄提供

だいたい3泊4日の日程で行われます。わたしの場合もそうでした。

入院1日目

1回目の提供では個室、2回目の提供では大部屋でした。病院によってドナーに提供される部屋は異なるようです。

入院1日目はこれといって何もなく、正直、退屈に過ごします。事前診察のときに手術の説明は済んでいるので、麻酔科の先生が挨拶に来るくらい。

暇だったので論文を読んだりブログを書いたりして過ごしました。

入院2日目

頃合いをみて看護師さんから促され、紙パンツを履き術衣に着替えます。呼ばれるまで部屋で待機です。

わたしの場合は手術室まで歩いて行きました。1回目のときは病室からストレッチャーで行ったような気もします。

手術台に載せられ、麻酔導入薬が注射されるともう記憶はありません。次に気づいたのは抜管(気管に入ったチューブを抜く)直前でした。気管に管が入って苦しい感じなのだけれど呼吸はできる変な感じです。その記憶もとてもぼんやりしたもので、はっきり覚醒めたのは手術が終わって数時間後の病室でした。

手術後翌日まではベッド上で安静臥床。離床できず、オシッコも尿器(尿瓶)または尿道カテーテルで排泄です。2回目の提供の際は尿道カテーテルは入れられていなかったですが、覚醒めてしばらくは尿意はあるけど出ない、尿閉気味でした。1回目の提供のときは尿道カテーテル(通称バルーン)が挿入されており、それを抜くときは、尿道がゾクゾクッと気持ち悪かったです。

この日は絶食で点滴をつづけて、夢うつつのように過ごしました。

入院3日目

朝に採血され、ドクターが採取部を確認、消毒して、離床が許可されます。お昼から食事も出てきました。

骨髄は左右の腸骨(骨盤の背中側、いわゆる腰骨)にボールペンのような針を刺して採取されます。手術中は麻酔されているので痛みはありませんが、術後はいわゆる腰痛を患ったような、筋肉痛のような鈍痛が残ります。

トイレに行くのがなんとかやっとという感じで、妻さんに飲み物やらゼリーやら買ってきてもらい、ベッドの上でKindle読んだり、動画見たりしながらダラダラと過ごしました。

入院4日目

再度、採取部をチェックされ退院です。退院前に髪を洗いましたが、腰が痛いです。曲げると鈍痛が増強します。

普通に歩いて退院し帰宅しましたが、腰を曲げない生活が4、5日続きました。腰の鈍痛自体は2週間ほど続いて、その後は徐々に気にならなくなりました。

術後検査

骨髄提供後約1ヶ月後に術後検査を受けます。腰痛もほとんど気にならない程度になっていました。血液検査も特に異常なく、骨髄提供の一連の流れが終了しました。

このあと、提供後のアンケートなどが届きました。腰にはよーく見ると分かるくらいの採取痕が残っています。

患者さんはどうなったのか・・・

骨髄提供をしても、移植を受ける患者さんの情報はほとんどわかりません。教えてもらえるのは、地域(関東地方、近畿地方とか)、年代(30代、40代など)、性別だけです。

ただ2往復だけ、手紙のやり取りができます。わたしは2回の提供で、いずれも手紙を受け取りました。

その他|費用、保険、補助金など

費用・時間の負担

骨髄移植ドナーの費用負担は一切ありません。通院にかかる交通費(公共交通機関)、入院準備金も支給されます。

ただし、術前に確認検査、最終同意面談、術前検査(+自己血採血)、自己血採血(2回目)と、少なくとも4回の通院が必要です。病院での待ち時間はできるだけ短くなるよう配慮してもらえますが、大学病院などの大病院で行われ、検査の順番待ち、結果待ちもあるため1日がかりと思ったほうがいいでしょう。

提供のための入院として3泊4日、仕事を休む必要があります。術後経過によっては入院期間が延びる可能性もゼロではありません。

加えて、術後検査に1回通院が必要です。

保険・補助金

医療保険の中には、骨髄提供のための入院に保険金が支払われるものもあります。ご自身の加入する保険を確認するといいでしょう。退院後、保険請求の記載を病院に依頼すると書いてくれます。

骨髄提供のための休業補償として補助金を提供している自治体もあります。また、骨髄提供ドナーの雇用主(会社)側にも補償金を提供している自治体もあります。お住まいの自治体の補助金制度をご確認ください。

まとめ・感想

2度の骨髄提供をしましたが、「ぜひ骨髄移植をしましょう!」とおすすめする気はまったくありません。

わたしの場合は医師であり、周囲も骨髄提供についての理解があり、白血病患者の存在、骨髄移植の必要性、目的、方法、リスクについても医学的見地から重々承知です。

リスクvsベネフィットで言えば、骨髄提供者にベネフィットはありません。あるとすれば、誰かを助ようとする愛と自己満足でしょうか。骨髄提供したあとの腰痛はたしかに辛かったですが、ときどき思い出すと、なんとなくイイコトをしたような、死んだら天国に行けるような幸せな気分になります。(いちおう提供数カ月後に、厚生労働大臣から感謝状が届きます。)

もし骨髄移植をお考えのかたの参考になれば幸いです。

プロフィール

糖尿病内科医
山村 聡(やまむら そう)

九州生まれ,九州育ち,九州大学医学部卒.東京都港区在住.フリーランスの医師として,病院に行かなくても医療の恩恵を受けられる仕組みをつくっています.

趣味はお酒と血糖値.診察室で患者さんと喋ることも好きですが,友人や家族とお酒を飲むことも大好きです.

高級なディナーに出かけたり,グリーン車で移動するなど,日常の中の非日常を大切にしています.

オンもオフも愉しく暮らし,家族の幸せを守りながら,さらには社会が豊かになることに貢献できたら最高です.

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます.

わたしの詳しいプロフィールはこちら

妻のRuiは,ハンドメイドアクセサリーの制作・販売・ワークショップをおこなっています.

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