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医者と患者が民間療法と上手に付きあうための3つのポイント|民間療法を試したい気持ちを忖度する

民間療法だけを信じるあまり,治療できる病気が手遅れになったり,通院を中断し,症状を悪化させる患者さんがいます.民間療法を使いながらも上手に病気と付き合える方法を考えてみました.

目次

民間療法を試す自由

糖尿病に関していえば,血糖値の改善をもたらすと噂される様々な民間療法があります.あるサプリを食べたり飲んだりすると血糖値が下がることはあります.呼吸法によって血糖値が良くなる可能性もゼロでは無いでしょう.心霊療法はさすがにアヤシイですが,完全に否定はしません.医者は民間療法を積極的に薦めることはないにせよ,民間療法を試す自由を奪うこともありません

民間療法をこっそり始めても通院はつづける

サプリや健康食品を飲み始めたら,できれば担当のドクターにもつたえてほしいです.でも医者から止められたりするのが嫌で,こっそり飲んでいる方もいます.それでも通院は続けましょう.

いままで通院していた患者さんが急に来院しなくなると,医者は心配します.1,2ヶ月に1回の通院でも,医者は意外と患者さんのことを覚えています.定期通院が3回目くらいになると,名前から顔と病名がなんとなく思い浮かびます.糖尿病患者さんが急に来なくなると,真っ先に,亡くなったのではないかと心配します.糖尿病が直接の死因になることは稀ですが,糖尿病患者さんは心筋梗塞や脳卒中といった死に直結する病気の危険性が,糖尿病でない人に比べると高いです.

民間療法を信じていても薬の中止は主治医に相談する

数は少ないですが,民間療法を信じすぎるあまり,通院もお薬もやめてしまう患者さんがいます.たしかに,西洋医学や糖尿病治療薬に否定的な見解を持つ民間療法もあります.しかし,いっきに薬も通院もやめてしまえば,どんなに効果があるとされる民間療法を実践したとしても,糖尿病は悪化します.

これまで病院に通い,過去の血糖値や,検査データの蓄積があるのだから,民間療法の効果も定期的な血液検査で確認するのがいいと思います.有効であれば,薬を減らしたり,通院頻度を減らしていくことも提案できます.逆に効果が乏しくても,特に害がなく,治療に支障がないのであれば無理にやめさせたりもしません.

患者さんのライフスタイルのみならず,信条,価値観にも寄り添って治療するのが一番だと思っています.主治医として,患者さんがどうして民間療法に頼りたくなったのか,そのきっかけを探ることで,主治医に言えなかった治療への不満が見えてくるかもしれません.

個人的見解|糖尿病内科的でないコメント

私も八百万の神々を信じますし,先祖の祟りは怖いです.気の流れを良くしたら健康になる気がしますし,無くしたものをダウジングで探したくなります.科学的に立証された,目に見えるデータが全てだとは断言しません.目に見えない世界に拠りどころを求めるのは人類共通の観念だと思います.

だからこそ,再現性に乏しく,科学的でない民間療法も,目に見える検査結果で確認したいものです.医学の進歩は著しいですが,依然,万能ではありません.そんな時代だからこそ,科学と非科学の境界で,両方の思想を汲むことができる医師でありたいと思います.

プロフィール

やさしい糖尿病内科医
山村 聡(やまむら そう)

九州生まれ、九州育ち、九州大学医学部卒。大学病院で糖尿病・代謝・内分泌内科助教、市中病院勤務後退局。フリーランスを経て、銀座有楽町内科院長。

病気を治療する医師であると同時に、生涯の健康を保つパートナーでありたいと思っています。

趣味はお酒と血糖値。診察室で患者さんと喋ることも好きですが、気のおけない友人とお酒を飲むことも大好きです。自分の幸せも大切にしながら,社会が豊かになることに貢献できたら最高です.

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます.

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