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シャドウ・エフェクト【本】自分の心をざわつかせる「シャドウ」を探る試み

とあるワークショップで「シャドウ」の存在を知り,考えを深めつつあります.その過程で大変学びの多かった1冊です.

目次

この本について

シャドウ・エフェクト
シャドウには,人生を一変させるギフトが詰まっている!!
ディーパック・チョプラ 著,デビー・フォード 著,マリアン・ウィリアムソン 著,佐藤志緒 翻訳
VOICE

この本から学びたいこと

シャドウとは何か
シャドウとはどう向き合えばよいか
シャドウは悪いものなのか
シャドウは自我にどう影響しているか
自分の人生を幸せに豊かにするためにシャドウにどう対処すればよいか

この本から学んだこと

シャドウを知り,自分のシャドウを分析する

そもそも「シャドウ」とは何か.

本書では3人の著者がそれぞれの視点から,シャドウについて教えてくれます.

わたしたちは自分の良い面ばかりを表に出しがちで,良い面だけが自分自身だと思う傾向にあります.

しかし実生活では,自分の嫌な部分を思いがけず表出したり,自己嫌悪に陥ったり,誰かに何かを言われて心がざわついたりします.

そうした「良い自分」を装っているなかで現れる「嫌な自分」がシャドウだと,わたしは解釈しました.

「良い自分」も「嫌な自分」もどちらも「自分」には違いありません.嫌な自分を封印して,向き合わないようにしようとすればするほど,シャドウは封印すればするほど大きな力となって,心のざわつかせようと現れます.

わたしに頻繁に現れるシャドウ

この本を読んで,自分の心の動きに目を向けてみました.日常の些細な会話や,人との関わりの中で,自分の気持ちがどのように振れ,その動きにどう反応しているのか,感覚を研ぎ澄ませる試みです.

そうすると自分が「嫌だな」と思う瞬間の心の振動が,数種類の似たパターンに分類できることがわかってきました.

「自分の非を指摘された」という反応

著者の一人,医学博士のディーパック・チョプラは,シャドウが現れる感情の例として「優越,不公平,傲慢,防御,非難,理想化,偏見,嫉妬,偏執狂」を挙げています.

チョプラの「防御」に該当する反応です.自分の不完全さ,価値の低さ,弱さが現れています.

この弱さを隠すために,欠点のない人間を演じたり,他人に完璧を求めたりするきらいがあります.

その分,誰かからの正当な指摘であっても過敏に反応し,シャドウの投影として,相手を攻撃的な人間と解釈してしまうわけです.

「やりたくないことを押し付けられた」という反応

これも「防御」に該当するか,ないしは「不公平」と感じる反応でしょうか.自分の弱さに加えて,自分を非難されるべき罪深い存在と卑下するシャドウです.

このシャドウを隠そうとして,潔白で,安全な人間を演じようとします.このシャドウを見透かされそうになる警察官や教師が嫌いです.

想定していなかった要求に対して「罰」として解釈してしまうようなので,自分の封印する「悪事」の存在を認めてみます.そして,活かすべき教訓としての役割を与え,手の届く範囲においておくようにしてみます.

「時間の無駄」という反応

これは「傲慢」に該当するシャドウでしょう.

自分の時間は貴重である,自分の貴重な時間を邪魔されたくないと考えるにいたる背景には,現状への不満や嫌悪があるようです.

もっと自由になりたいのに,時間を有効に活用できていない,自分自身の無能さを唆すシャドウも隠れていそうです.

また,「防御」と同様に,自分に対して時間を割いてもらえない,自分への無価値さや寂しさも潜んでいるのかもしれません.

シャドウとどう向き合うか

3人の著者がそれぞれのシャドウとの向き合い方,克服の仕方を述べていますが,共通しているのはシャドウをまるごと認めるという方法です.

「自我を認める」あるいは「愛する」という形で,シャドウと自分の対比ではなく,自分自身と一体のものとして扱うように薦めています.

たしかに,心がざわついた時に,そのざわつきは相手が引き起こしたものではなく,相手の言動の何かに対して,自分自身のシャドウが反応して,自然と自分の中から発生した感情です.

同じ状況,同じ言動でも誰もが同じ反応をするわけではなく,何も感じない人もいれば,自身のシャドウが反応して,シャドウの投影という形で心がざわつく人もいます.

シャドウも自分の一部であると考えると,自分の弱さ,隠したい部分を認め,自分の不完全さもまた自分の個性として愛せるように思えてきます.

まとめ

シャドウという存在を知り,この本をきっかけに,自分の感情を敏感に探ってみています.

シャドウという糸口から自分に隠れていた(隠そうとしていた)感情に光を当て,その存在を認めつつあります.

シャドウとの付き合い方を探る試みをはじめると,心のざわつきはなくなるわけではないですが,心のざわつくと,シャドウという隠れていた自分を発掘する鉱脈を見つけたようで,必ずしも嫌な気分ではありません.

そうすると,本当に不思議なことに,家族をはじめとする人間関係のところどころで棘がなくなり,丸みを帯びてきたようです..

これからも自分の感情を敏感に探り,シャドウとの共存を試みてみようと思います.

プロフィール

やさしい糖尿病内科医
山村 聡(やまむら そう)

九州生まれ、九州育ち、九州大学医学部卒。大学病院で糖尿病・代謝・内分泌内科助教、市中病院勤務後退局。フリーランスを経て、銀座有楽町内科院長。

病気を治療する医師であると同時に、生涯の健康を保つパートナーでありたいと思っています。

趣味はお酒と血糖値。診察室で患者さんと喋ることも好きですが、気のおけない友人とお酒を飲むことも大好きです。自分の幸せも大切にしながら,社会が豊かになることに貢献できたら最高です.

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます.

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