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【論文アクセプト】1型糖尿病に関する論文がJournal of Diabetes Investigation誌にアクセプトされたので要約と感想

昭和大学糖尿病・代謝・内分泌科に所属していた間におこなった臨床研究論文がJournal of Diabetes Investigation誌(IF 3.147)にアクセプトされました。

目次

Circulating anti‐glutamic acid decarboxylase‐65 antibody titers are positively associated with the capacity of insulin secretion in acute‐onset type 1 diabetes with short duration in a Japanese population

日本人の急性発症1型糖尿病において罹病期間10年以下の患者ではGAD抗体価とインスリン分泌能が正相関する

要約

目的

膵島関連自己抗体と膵β細胞機能との関連を明らかにする。Th1活性化を介して膵β細胞破壊を引き起こすケモカインCXCL10と膵β細胞機能との関連を明らかにする。

方法

58人のGAD抗体陽性(RIA法により測定)1型糖尿病患者(急性発症1型糖尿病27人、緩徐進行1型糖尿病31人)を対象に、CXCL10、ZnT8抗体、GAD抗体(ELISA法により測定)、IA-2抗体を測定した。膵β細胞機能はCペプチドインデックス(CPI)で評価した。

結果

罹病期間の経過とともにCPIは低下する。罹病期間10年以下の急性発症1型糖尿病患者では、GAD抗体価が測定方法(RIA法またはELISA法)に依らずCPIと強く相関する。ZnT8抗体価、IA-2抗体価はCPIとの相関を認めない。1型糖尿病患者のCXCL10は非糖尿病群と比べて有意に高値で、罹病期間が10年以上経過した群でも高値が持続している。

結論

罹病期間10年以下の急性発症1型糖尿病患者では、膵島関連自己抗体のうち、GAD抗体価が膵β細胞の残存機能を反映する。

糖尿病内科的コメント

一般に医師の業績は診療、医学教育、研究で評価されます。診療や教育はなかなか客観的に評価してもらえないため、研究(学会発表・論文)に重きが置かれる傾向があります。

わたしも昭和大学の糖尿病内科に入局したての頃は、大学病院勤務医としてのキャリアプランも選択肢のひとつであったため、専門的な勉強・診療をしつつ、当時の上司のすすめで1型糖尿病の臨床研究を始めたのでした。

かれこれ2年ほどかけてデータ整理し、この論文がちょうど3月にアクセプトされ、医局を辞めるギリギリのところで業績に加えることができました。論文指導いただいた先生方には本当に感謝です。

今後のキャリアプランとして研究に重きを置く予定はありませんが、臨床研究の成果を世に発表した縁はどこかで役に立つことでしょう。

プロフィール

やさしい糖尿病内科医
山村 聡(やまむら そう)

九州生まれ、九州育ち、九州大学医学部卒。大学病院で糖尿病・代謝・内分泌内科助教、市中病院勤務後退局。フリーランスを経て、銀座有楽町内科院長。

病気を治療する医師であると同時に、生涯の健康を保つパートナーでありたいと思っています。

趣味はお酒と血糖値。診察室で患者さんと喋ることも好きですが、気のおけない友人とお酒を飲むことも大好きです。自分の幸せも大切にしながら,社会が豊かになることに貢献できたら最高です.

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます.

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