人間の主なエネルギー源はグルコース、すなわち血糖なので、血糖値の上昇なくして私たちは生きていけません。
パン、ごはん、うどん、ラーメンといった炭水化物を口から取り込み、血糖値を上げ、脳や筋肉といった臓器の細胞が血糖=グルコースをエネルギーとして生きているわけです。
食事による血糖値上昇。エネルギー消費による血糖値低下。この繰り返しによって、人間は自分の生命活動を維持しています。
では、私たちはどれくらいエネルギー源のグルコースを摂取しているでしょうか。また、日常的にどれくらいグルコースをエネルギーとして消費しているでしょうか。
現代人は、グルコースの摂取が消費を上回っており、使い切れないエネルギー源をもてあましがちです。この、もてあましたグルコースこそがゆくゆくは血糖値の上昇と下降のバランスを逸脱し、血糖上昇のスパイラルへと導いて、糖尿病の発症に至るわけです。
ただ必ずしも、血糖の過剰摂取が糖尿病のすべての原因となるわけではありません。大切なのは血糖値の上昇と下降のバランスです。グルコースを取りすぎなくても、体内で消費されなければ血糖値が下がりません。グルコース過剰摂取でも、あまったエネルギーを脂肪やほかのエネルギー源に変換して血糖値を下げることもできます。
糖尿病を発症するかしないか、原因は何なのでしょうか。「食事を何kcal以上食べたら」とか、「この遺伝子があるから」といった明確な線引きはありません。誰しもが糖尿病になりえて、糖尿病だから食べ過ぎだ、肥満だと一概に言えるわけでもありません。
このなんとなくはっきりしない病気「糖尿病」をより理解するため、糖尿病にまつわる検査値やホルモン、お薬などのいろいろなプレイヤーたちをご紹介していきます。